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規制動向ニュース

オーストラリアのカジノAML規制2026:The StarとCrownの制裁金・本人確認ルールを比較

2026年10月にThe Starへ2億6,000万豪ドル、2023年7月にはCrown Melbourne/Crown Perthへ計4億5,000万豪ドルの民事制裁金が命じられました。AUSTRACの指摘と、2026年に変わった一部ギャンブルサービスの顧客確認(CDD)免除基準を解説します。

オーストラリアのカジノはなぜAML対策を問われているのか

オーストラリアのカジノ事業者は、州の営業免許に加え、連邦のマネーロンダリング対策・テロ資金供与対策法(AML/CTF Act)の対象となる場合があります。監督機関のAUSTRACは金融情報の収集と、義務違反に対する民事執行を担います。

2026年10月28日、The Starの関連事業体には合計2億6,000万豪ドルの民事制裁金が命じられました。一方、2023年7月11日にはCrown MelbourneとCrown Perthに合計4億5,000万豪ドルが命じられています。別々の裁判であり、金額だけで違反の重大性を順位付けすることはできません。

The Star事件:資金の出所と高リスク顧客の管理

AUSTRACによると、裁判所はThe StarのAML/CTFプログラムと継続的な顧客監視が不十分だったと認定しました。顧客情報や資金源の確認不足、第三者による取引や現金の入金、ジャンケット(VIP客を仲介する事業者)およびプライベート・ゲーミングルームへの監督が問題となりました。

公表資料には、高リスクの経路を使えた顧客が1,200人超いたとの記載があります。ただし、全員に資金洗浄の犯罪が立証されたという意味ではありません。制裁金の内訳はシドニー側が1億9,500万豪ドル、クイーンズランド側が6,500万豪ドルです。

Crown事件:取締役会の監督と継続的モニタリング

Crown側は2023年の手続きで、適切なリスク評価が行われず、業務規模に見合う取引監視や高リスク顧客の強化確認、経営陣の監督が不足していたことを認めました。AUSTRACとの共同提案を受けて裁判所が4億5,000万豪ドルの制裁を決定しました。

The StarとCrownには共通する統制上の課題があるものの、対象事業者や証拠、裁判手続きは異なります。制裁金は顧客資金がすべて犯罪収益だったことを示すものでもありません。

2026年改正:5,000豪ドルの意味

2026年3月31日から既存の報告義務事業者に改正AML/CTF制度が適用され始め、一部の義務には移行措置があります。特定のギャンブルサービスにおける顧客デューデリジェンス(CDD)の免除基準が、「1万豪ドル未満」から「5,000豪ドル未満」に変更されました。

これは「5,000豪ドルを超える賭けはすべて疑わしい取引として通報する」という意味ではありません。1万豪ドル以上の現物通貨に係る閾値取引報告は別の制度で、疑わしい事項の報告にも独立した条件があります。高リスクと判断される場合には金額だけでなく追加の確認が必要です。

事業者に求められる実務

顧客の本人確認だけで終わらず、リスク格付けの更新、資金源の合理的な確認、異常な入出金の検知、問題発見後の調査とエスカレーションが必要です。VIP部門やジャンケットの収益性を優先して管理を形骸化させないこと、取締役会が統制の有効性を確認することも欠かせません。

よくある質問

両社は同じ事件で処分されたのですか? いいえ。別の事業体と手続きです。

AUSTRACの制裁でカジノ免許が自動的に失効しますか? いいえ。州の免許行政は別の制度です。

5,000豪ドルが疑わしい取引報告の新基準ですか? いいえ。一定のギャンブルサービスに対するCDD免除の範囲の変更です。

BetVerityでは、The Starへの2億6,000万豪ドルの判決を扱う速報記事、および各カジノの営業・免許状況の分析記事と、本稿を相互に参照できる構成とします。